ワインをあまり飲まない方でも、スパークリングワインなら飲むという方はたくさんいます。
発泡する分アルコール度数が低かったり、味の濃厚さが抑えられたりし、さっぱりと飲めるためです。
吟醸酒は発泡するわけではありませんが、「飲みやすさ」という点ではそれに近いものがあります。
スパークリングワインやシャンパンのように、繊細な香りとフレッシュな風味が好みの方にぜひ一度試してみてほしいお酒です。
今回の記事では、「吟醸酒とは?」をテーマに解説します。
その魅力や原料、よくあるQ&Aなどについて幅広くまとめているので、ぜひ気になる項目から目を通してみてくださいね。
【1】日本酒の吟醸酒 その特徴と種類
日本酒の吟醸酒にはどのような特徴や魅力があるのかについて解説します。また、吟醸酒と純米吟醸酒の種類の違いも併せて紹介します。
吟醸酒の特徴とは?
吟醸酒は、日本酒の中でも「香り高さ」が魅力のお酒です。フルーティーで華やかなものや、複雑で繊細なものなど、香りのバリエーションは多岐にわたります。
この香りは「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれています。
吟醸香が生まれる理由は、「醸造アルコール」にあります。
吟醸酒は、純米酒と同じようにお米、水、米麹をベースに造られています。ですが、そこに醸造アルコールを加えることによって、軽やかな香りが引き立つようになるのです。
また、醸造アルコールは、吟醸酒ならではの淡麗な風味も生み出します。
すっきりとした飲み口で、シャンパンに似た雰囲気があるため、日本酒初心者や海外の人にも人気があります。
吟醸酒の種類(1)吟醸酒・大吟醸酒
吟醸酒には、吟醸酒・大吟醸酒、純米吟醸酒・純米大吟醸酒の4種類があります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。
吟醸酒と大吟醸酒は、お米・水・米麹に醸造アルコールを添加し、醸造造りという製法で造られた日本酒のことです。
醸造アルコールの添加量は、使用するお米の10%以下と定められています。
吟醸造りとは、お米を低温でゆっくり発酵させる製法のことです。この製法が、吟醸酒の香りを生み出しているのです。
吟醸酒と大吟醸酒の大きな違いは、「精米歩合」です。精米歩合とは、お米をどれだけ磨き上げたかを表わす数字のことです。
この精米歩合が60%以下のものは「吟醸酒」に、50%以下は「大吟醸酒」に分類されます。
吟醸酒の種類(2)純米吟醸酒・純米大吟醸酒
純米吟醸酒・純米大吟醸酒は、お米・水・米麹を原料に造ったお酒です。吟醸酒とは異なり、醸造アルコールを添加していません。
ですが、吟醸造りの製法を用いているため、純米酒でありながら吟醸香も楽しめます。純米酒のお米の旨味と、吟醸酒の華やかな香りのどちらも堪能できます。
【2】日本酒の吟醸酒 原料と造り方とは?
ここでは、吟醸酒の具体的な原料や造り方などについて解説します。
(1)お米(酒造好適米)
吟醸酒を造るためには、他のお酒よりもさらに磨いたお米(酒造好適米)を使います。吟醸酒は精米歩合60%以下、大吟醸酒は50%以下にする必要があります。
つまり、大吟醸酒の場合は、半分まで削ったお米を使っているのです。
お米は、磨けば磨くほど雑味がなくなり、すっきりとした味わいになることが一般的です。
そのため、香り高さを重視し、クリアで淡麗な風味に仕上げる吟醸酒には必要な作業なのです。
(2)水
吟醸酒は、全国の蔵元で造られています。その中でも特に有名なのは、中部地方と広島県西条です。
中部地方は、寒冷な気候と豊富な水源に恵まれているため、日本有数の米どころの一つでもあります。
特に、新潟県を中心とする北信越地方では、淡麗辛口な銘柄が多く造られています。また、高品質な吟醸酒が多いことでも有名です。
広島県西条は、日本三大酒どころの一つです。
広島の水は硬度が3未満と軟らかいため、日本酒造りには不向きだと言われてきました。
ですが、1897年(明治30年)に「軟水醸造法」が生み出されると、灘・伏見と並ぶほどの酒どころと呼ばれるようになるのです。
軟水醸造法は、ゆっくりとした発酵を行うことが特徴です。その結果、香り高く、まろやかな風味のお酒に仕上がります。
吟醸酒の製造方法である吟醸造りに適しているため、広島県西条の吟醸酒は全国の清酒鑑評会で高評価を得ています。
(3)醸造アルコール
醸造アルコールとは、トウモロコシやサツマイモなどを発酵させ、連続式蒸溜機で蒸溜したアルコールのことです。
純度がとても高く、クリアです。
醸造アルコールには、お酒の軽やかな香りを引き立たせる働きがあります。また、淡麗ですっきりとした飲み口やキレのよさなども、醸造アルコールによるものです。
吟醸酒の場合、添加量は「使用するお米の10%以下」と酒税法によって定められています。
(4)吟醸造り
国税庁のホームページでは、吟醸造りについて下記のように定義しています。
「吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。」
低温の温度や発酵日数などは、具体的には定まっていません。そのため、各蔵元がオリジナリティを発揮できる部分でもあります。
参考:日本酒(清酒)に関するもの(国税庁)
【3】吟醸酒に関するQ&A
ここでは、吟醸酒に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
(1)吟醸酒はいつごろ造られた?
「吟醸」という言葉は、明治時代に使われるようになったと言われています。
ちょうどそのころ、各蔵元で品評会の入賞を目指した酒造りが行われ始めました。吟醸酒は、そのための仕込みや技術などを磨く過程で普及していきました。
1933年(昭和8年)に竪型精米機が導入されたことで、より精米歩合の高いお米を使えるようになりました。
吟醸酒のフルーティーな香りは、精米技術にも大きな影響を受けているのです。
その後、1982年(昭和57年)に吟醸酒ブームが起こり、日本酒業界だけではなく、世間にも広く存在が知れ渡るようになります。
(2)吟醸酒におすすめの温度は?
吟醸酒におすすめの温度は、冷酒です。
吟醸酒は、冷やすことによって、華やかな香りや淡麗な風味が引き立ちます。どちらも吟醸酒の大きな魅力なので、まずは冷酒で味わってみてください。
それ以外にも、その銘柄本来の魅力を堪能できる冷や(常温)もおすすめです。
また、ぬる燗向きの銘柄もあるので、好みの温度がある方は蔵元や日本酒専門店などに聞いてみるのもよいでしょう。
(3)吟醸酒に合う料理は?
吟醸酒には、フレッシュな香りを引き立てられる料理がおすすめです。そのため、素材の風味を活かして、シンプルな味付けをしたものがよいでしょう。
特に、シャンパンを飲むときに前菜として出されるメニューと相性抜群です。
主なものには、イカやカニなどの刺身、天ぷら、ポン酢のステーキ、サラダ、カルパッチョなどがあります。
まとめ:吟醸酒は日本酒初心者や贈り物にもおすすめ
吟醸酒は、繊細な香りと淡麗な飲み口が魅力のため、クセが少なく、あまり苦手と感じる方がいないお酒です。
そのため、贈り物としても人気があります。
特に、大吟醸酒や純米大吟醸酒は、いわゆる高級酒に分類されます。そのため、贈られる方は喜びもひとしおです。
また、普段は純米酒派の方でも、醸造アルコールを添加していない純米大吟醸酒なら好む方もいます。
洋酒派の方やあまりお酒を飲まない方には、スパークリングタイプの吟醸酒がおすすめです。
たくさんの銘柄が販売されているので、迷ってしまう・・・という方は、酒泉洞堀一のInstagramも参考にしてみてください。日本酒の情報を毎日発信しておりますので、あなた好みのお酒を探してみてください。
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