2019年11月17日、最後になる酒販店対象の大信州 豊野蔵の「槽場詰めの会」に参加しました。最後というのは今年で長野市豊野町にあるこの仕込み蔵は閉鎖され、大信州の本拠地である松本に来季から新蔵が立ち上がるからです。
しかし、実はそれは2年前に行われる予定でしたが、松本の景観条例に合わせての設計変更、建設職人の確保の難しさ等の理由で来年開設となった訳で、大信州にとっては悲願の移転です。それによって今迄は仕込みは豊野蔵、仕込み水の採取、瓶詰め・貯蔵は松本と、分離していたものが一つになり、より細密な仕事が出来、さらに酒質の向上にも繋がることになるのです。
それで蔵のある豊野周辺といえば、10月13日の台風による大雨で千曲川が決壊、大規模の災害が発生したことは記憶に新しいところ。なんとか大信州・豊野蔵は高台にあり 蔵の入り口にまで迫ってた洪水は奇跡的に蔵に入らず、(すんでのところでポンプ車が来て水を排出してくれたそうです。) しかし数日間の停電のために何本もの仕込み中のタンクを破棄し、今回は毎年行われる当日搾り詰めはありませんでした。
しかし1本だけ満足出来る仕上がりのタンクを残すことが出来、通常の”槽番詰め”のみの出荷なることに。しかし流石というか、 その出来は素晴らしい!ストレスが全くない、水に甘みが乗ったような流れの良さ! 今年も契約農家さんが頑張り良質の原料米の確保が出来たということで、それを反映した出来か
事務所2Fの会議スペースで今年の状況や災害の話を聞いた後は蔵に移り、今の大信州のお酒を一通り試飲。いろいろ試飲したなかで「手いっぱい」は蔵の造りの基本になるものということを再確認。この味をベースに甘さや辛さを振って他の酒質にしてる→ 流れに綺麗に甘みが追随し余韻が長い、蔵元をやはり代表する味。
「仕込みシリーズ」は出品酒。同じ仕様で仕込むが、3本とも性格が違う。バランスが一番優れたのは四十三号か
大信州の契約農家さん、職人という感覚でなくて、それぞれが経営者的の面白い方が揃っている。今の問題点や将来への視点がちゃんとあっで、こうやってディスカッションで解り易く伝えれる。また三者三様の得意分野があって、その情報を交換して伸びているとのこと。
今は有機農法、そこに向けて勉強中。 こんな優秀な米生産者もあって大信州のあの味いなっているんだと実感。
仕込みの現場へ 、克己杜氏から説明を聞く。まず給水作業を見学、 皆さんキビキビ働いて、見ていて気持ちよい。夏は試飲会で来ていただいた皆さんだけど、仕込みの現場はキリッとした緊張感を漂わせていてカッコいい。毎日毎日 克己杜氏、米の給水具合を確認し修正を指示すると、担当の小松さんが吸水率0、5%単位でキチンと合わせる。
蒸しは“抜きがけ”と言われる大吟醸しか使わない手間のかかる手法で全量。
そして蒸したお米はこれも全量自然放冷。 そしてまだ暖かいうちに麹室に引き込む、そうすることで綺麗に薄く広げれる。 放冷や種振り作業中は手袋を昨今付ける蔵が多い中「高級寿司で手袋付けますか?」
そういう精神で素手で作業を行う、その代わり兎に角 手洗いを徹底。 麹は基本 突きハゼだけど最後に一工夫、それが一つのポイントだという。 麹米は全て大吟醸規格の精米歩合49% 。
これらが大信州・田中克己の世界観^_^ それを会得したような気持ちで蔵を後にしました。
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