日本酒は、栓を開けた後でも数日かけて少しずつ飲めるお酒の一つです。
購入したときの美味しさを味わうには1週間以内に飲み切ることが理想と言われてはいますが、日本酒初心者や、あまりお酒を飲まない人にはなかなか難しいのではないでしょうか。
今回の記事では、「日本酒の理想的な保存方法」をテーマに解説します。
誰にでもすぐに始められる保存方法、避けるべきポイント、種類別の保存方法などについて紹介します。
「せっかく購入しても、なぜかいつもすぐに風味が劣化してしまう」という人はぜひ参考にして下さいね。
【1】今すぐできる!日本酒の保存方法とは?
最初に、今すぐできる日本酒の保存方法3つについて解説します。
(1)冷蔵庫
日本酒の保存方法として最も適しているのは、「冷蔵庫」です。
後ほど詳しく説明しますが、日本酒は光・温度・空気の3つに当たるとすぐに劣化してしまいます。ですが、冷蔵庫内であれば、温度はもちろん、光や空気もある程度は避けることができます。
そのため、基本的には冷蔵庫での保存がおすすめです。
また、それ以外にも、生酒や生貯蔵酒などの場合は、購入後必ず冷蔵庫で保存して下さい。
(2)冷暗所
日本酒には大瓶も多いため、冷蔵庫には入りきらない場合もあります。その場合は「冷暗所」がおすすめです。
日本酒は温度の変化に弱く、傷んでしまう原因になります。そのため、安定した低い温度を維持できる場所で保存しましょう。
また、振動も起こらないところがベストです。
純米酒・本醸造酒・古酒は常温でも品質が安定しているため、基本的には冷暗所でも問題ありません。
(3)縦置きがベスト
横置きで保存するワインのイメージがあるためか、日本酒も同じように置こうと考える人がいます。ですが、日本酒は「縦置き」で保存しましょう。
横置きにすると空気に触れる面積が増え、傷みやすくなってしまうためです。
【2】日本酒の保存方法 ポイントは光・温度・空気を避ける
日本酒の保存方法における重要なポイントは、「光・温度・空気を避ける」ことです。ここでは、それぞれの理由や方法について解説します。
(1)光
日本酒は、「光」の影響を非常に受けやすいお酒です。太陽光や紫外線だけではなく、蛍光灯の光でも傷むほどデリケートなので、保存場所は注意して選びましょう。
これらの光が当たることで、日本酒から「日光臭」と呼ばれる臭みが発生してしまいます。また、風味が変化することも多いため、注意しましょう。
光を避けるためには、冷暗所や冷蔵庫などでの保存がベストです。外箱や新聞紙で包装されている場合は、そのままの状態にしておいたほうが光から守れます。
瓶のままの場合は、できるだけ新聞紙などで包装することをおすすめします。
(2)温度
それ以外に、日本酒を保存する際に大切なのは「温度」です。
日本酒は、種類によって保存に適した温度がかなり異なります。
一般的には冷暗所と言われていますが、生のお酒や吟醸酒などの場合は冷蔵庫が最適です。そのため、各商品に合った温度を必ず確認したうえで保存しましょう。
特に、高温多湿の場所や、温度変化の大きい場所に置くと、品質が劣化し、「老香(ひねか)」と呼ばれる劣化臭が発生する原因になります。
安定して低い温度を維持できる場所での保存がベストです。
(3)空気
日本酒は、開栓して空気に触れることで酸化が始まり、次第に風味が損なわれてゆきます。フレッシュな風味を味わいたい場合は3日間以内、最長でも1~2週間以内に飲み切るのが理想です。
開栓後は、しっかりと栓をして保存するようにしましょう。
日本酒を縦置きで保存するのは、空気の触れる面積をできるだけ少なくするためでもあります。瓶に入っていても品質が変わってしまうほど繊細なのです。
【3】日本酒の保存方法は種類によって異なる?
日本酒の保存方法は、種類によっても異なります。ここでは、日本酒を大きく三種類に分け、基本的な保存方法について解説します。
(1)火入れしてあるもの
通常の日本酒は、下記のような状態で保存することが一般的です。酒屋やスーパーなどで常温で置かれている日本酒などが該当します。
温度:20℃前後
湿度:70~80%
保管場所:冷暗所、振動・臭いのない場所
大半の日本酒は、「火入れ」という加熱処理を行っています。製造から出荷までの間に二回火入れを行うことで、品質や風味を一定に維持できるようになります。一年近く美味しさをキープできるのはそのためです。
日本酒は火入れしてあることがほとんどなので、ラベルにも書いてありません。「生○酒」という記載がなければ、火入れが行われていると考えてよいでしょう。
(2)生酒・生詰・生貯蔵酒
前述の通り、通常の日本酒は火入れによって品質を安定させています。火入れという加熱処理によって発酵が止まり、品質や味わいを長く維持できるようになるのです。
火入れは、貯蔵前と出荷前のタイミングで行うことが一般的です。
ですが、あえて火入れを行わないお酒もあります。それが「生酒(なまざけ)」「生詰(なまづめ)」「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」の3種類です。
フレッシュで瑞々しく、爽やかな風味が魅力です。
【火入れの回数とタイミング】
生酒…0回
生詰…1回:貯蔵前
生貯蔵酒…1回:出荷前
これら3種類のお酒は、通常の日本酒に比べてデリケートで傷みやすいため、注意しましょう。
購入後はすぐに冷蔵庫に入れて下さい。保存期間も、生貯蔵酒は最長約3ヶ月、生詰は約1ヶ月までがおすすめです。
(3)吟醸酒
フルーティーで華やかな「吟醸香」が魅力の「吟醸酒」。ですが、高温の環境に置いておくと熟成が進みやすく、せっかくの吟醸香がすぐに失われてしまいます。
吟醸酒の理想の保存温度は10℃前後なので、冷蔵庫での保管がおすすめです。
【4】日本酒の保存方法 より本格的に行うなら?
ここからは、日本酒を本格的に飲んでゆきたい場合の保存方法について解説します。
(1)日本酒用セラー
日本酒には、専用の貯蔵庫「日本酒セラー」があります。光や温度などの影響を受けやすいお酒ですが、日本酒セラーなら常に快適な環境を保ってくれます。
また、縦置きできる商品が多いため、大瓶の保存にも適しています。
「本格的に日本酒の風味や香りを楽しみたい」という人に、特におすすめです。
(2)真空ポンプ付きワイン用の栓
日本酒は空気に弱く、開栓して真空状態が保てなくなると次第に劣化してゆきます。そのため、美味しい風味が保てるのは1週間までと言われています。
ですが、日本酒をゆっくり飲みたい人もいるでしょう。
そういう場合には、「真空ポンプ付きワイン用の栓」がおすすめです。瓶の中の空気を抜き、真空に近い状態にしてくれます。
ワインショップや通販などで簡単に購入できるので、ぜひチェックしてみて下さいね。
まとめ:日本酒の保存方法 迷ったら冷蔵庫がおすすめ!
日本酒の保存方法には様々な種類がありますが、もし迷ったら「冷蔵庫」が最もおすすめです。光・温度・空気という、日本酒が劣化しやすい環境を簡単に避けられます。
特に、開栓後は種類を問わず、必ず冷蔵庫で保存しましょう。
大瓶の場合は、温度変化の少ない冷暗所で保管して下さい。光が当たらないように紙で包んでから縦置きにすることで、酸化を防ぐことができます。
生酒・生貯蔵酒は、購入後すぐに冷蔵庫で保存しましょう。
日本酒は、自宅でできる基本を押さえるだけで劣化を防げます。ぐんと美味しくなり、香りも引き立つようになるので、ぜひ今日から試してみて下さいね。
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